2020年4月8日からサービス提供を開始する楽天自社回線(MNO)を用いた正式プラン(Rakuten UN-LIMITプラン)の全貌が明らかになりました。
主要MNOが展開する複雑な料金プランとは異なり、Rakuten UN-LIMITプランは1つだけです。※月額2,980円(税込3,278円)で楽天自社回線がデータ容量無制限で使い放題となるシンプルな料金設定
ただし楽天自社回線が利用できるエリアは限定的で、利用できない通信エリアではデータ容量制限・速度制限があるなど、利用上の注意点も存在します。
そこでRakuten UN-LIMIT VIプランのメリットやデメリット(注意点)について詳しく解説していきます。
目次
楽天自社回線プラン(UN-LIMIT VI)のメリット
データ容量無制限なのに低価格(月額3,278円)
月々に使用できるデータ容量が無制限or大容量のプランで料金を比較すると、楽天自社回線プラン(UN-LIMIT VI)の安さが際立ちます。
MNO | 楽天モバイル | ドコモ | au | ソフトバンク |
---|---|---|---|---|
データ容量 | 無制限 | 60GB | 無制限 | 50GB |
月額料金 | 3,278円 | 7,678円 | 8,228円 | 8,228円 |
しかし、なぜ楽天モバイル(MNO)だけが突出して安くできるのでしょうか?
実は楽天自社回線プラン(UN-LIMIT VI)の安い料金設定を実現する革新的な技術として、通称『NFV』と呼ばれるネットワーク機能の仮想化が低コストに大きく寄与しています。※NFV:Network Functions Virtualisation
どうしても専用サーバー(ハードウェア)で通信に必要なインフラ設備を構築するとコストが掛かってしまいます。
そこで設備コストを下げるために、ドコモなど大手キャリアもNFVを取り込んではいるものの、一部設備に限定されています。
ところが、楽天モバイル(MNO)では、世界初となる完全仮想化クラウドネイティブネットワークの実現に向けて自前インフラ設備を整えており、利用料金の安さへつなげているのです。
完全仮想化クラウドネイティブネットワークとは?
楽天モバイルではネットワーク自体も仮想化されており、ハードウェアに依存しない構成となっています。
RANからコアまでのすべての仮想化アプリケーションがこの基盤に展開されています。
また千を超える超分散型の配備となっていて高速処理を実現します。
この基盤の技術仕様は共通化されていて、オペレーションの簡素化とコスト低減を実現しています。
仮想化RAN(vRAN)の実現
楽天モバイルの完全仮想化クラウドネイティブネットワークとは、無線アクセスネットワーク(RAN)からコアネットワークまで完全に仮想化したもので、高価な専用ハードウェアを撤廃し汎用的なアンテナやサーバーで通信環境が構築されています。
通常、基地局にはベースバンドユニットやそれを格納するキャビネットがあります。
ところが楽天モバイルの完全仮想化クラウドネイティブネットワークではベースバンドユニットを仮想化することで、シンプルな基地局構成になっています。
各設備を仮想化・クラウド化することで高価な専用ハードウェアが不要、かつ基地局構成がシンプルであるため、エリア拡大におけるハードウェア費用や人件費を抑えることができます。
また機能追加やメンテナンスもクラウド上で修正できるので、迅速に対応でき、運用費も削減されます。
こういった技術は後発である楽天モバイルだからこそ出来る強みと言えるでしょう。
なぜなら大手キャリア三社はこれまでの設備や技術があり、それらを順次移行しながら新しい技術を取り入れる必要がありましたが、後発の楽天モバイルはそういった制限がなくいきなり最新技術を導入することが出来るからです。
『端末』~『制御装置』はRAN(Radio Access Network)、『制御装置』以降はコアネットワークと言われています。楽天モバイルの場合、このRANが仮想化されているということでvRANと表記されます。
このvRAN実現にあたり、楽天とNECが5G無線機を共同開発しました。
参考楽天モバイルとNEC、オープンvRAN対応の無線機を日本国内で製造
参考楽天、次世代ネットワークの試験施設 「楽天クラウドイノベーションラボ」を設立
※楽天クラウドイノベーションラボは、情報や通信、テクノロジー分野におけるデジタルソリューションサービスを提供するTech Mahindra Limited(本社:インド ムンバイ)と連携して設立されたものです。
5Gレディなネットワーク基盤
楽天モバイルはすでに5Gに移行できるよう『5Gレディ』な構造を適用しています。
このネットワーク基盤では、NFV(Network Functions Virtualization)、vRAN、SDN(Software Defined Network)、エッジコンピューティング、スライシング、大容量などの5Gに必要とされる技術を組み込んでおり、サービス開始時からすでに5Gに対応できる準備が整っています。
ソフトウェアアップグレードのみで5Gに対応できるため、大手キャリア3社と比べ短期間での市場投入が可能と言われています。
またシスコシステムズ、ノキア、アルティオスター ネットワークス、インテル、レッドハット、OKI、富士通、シエナ、NEC/Netcracker、クアルコム、マベニール、Quanta Cloud Technology(QCT)、サーコム、テックマヒンドラ、アロット、イノアイ、VIAVI ソリューションズといった大手企業とパートナーを組んでおり、技術的なバックボーンも盤石です。
今はまだエリアも狭く、問題も発生するでしょうが、上述の通り安定性、スケーラビリティ(拡張性)、およびアジリティ(機敏性)が確保されていますので、長い目で見ると利用料金引き下げ、通信速度向上といった形で私たちに還元されることが期待できます。
なお、楽天モバイルの完全仮想化クラウドネイティブネットワークの詳しい情報が知りたい方は『楽天モバイルネットワーク、世界初のエンドツーエンドの完全仮想化クラウドネイティブネットワークにおいて実証実験に成功』も参考にするとよいでしょう。
Rakuten Linkで国内通話かけ放題
Rakuten UN-LIMITにはデータ通信使い放題と同じくらい大きなメリットとして『国内通話かけ放題サービス(Rakuten Link)』があります。
楽天モバイルのRakuten Linkでは音声通話やSMSに変わる次世代の新しいメッセージサービスRCS(Rich Communication Service)を活用しています。
RCS自体は真新しい技術ではないものの、既存の大手キャリアは通話料金で稼ぎたいのか積極的にRCSを導入してこなかった背景があります。
その点、Rakuten Linkの誕生は、もともと格安SIMとして5分かけ放題サービスや楽天でんわなど、音声通話の低価格化に積極的だった楽天モバイルならではサービスといえるでしょう。
参考Rakuten UN-LIMIT(Rakuten Link)を使ってみた感想レビュー!
料金プランがシンプルで分かりやすい
大手キャリア3社の料金プランは、ただでさえ複雑で理解に苦しむのに、内容をコロコロ変えるため、非常に理解しがたい料金プランとなっています。
さらにデカデカとHP上に載せている料金設定は、実は様々なオプションサービスに加入した後の割引適用後の実質料金で、実際に契約すると割高になってしまうなど、よく耳にする話です。
正直、複雑な料金プランで思考回路を麻痺させるのが狙いと思われても無理ありません。
そんな問題だらけの携帯業界の常識を覆す楽天モバイルのUN-LIMITプランは、1つだけのシンプルな料金形態となっており、非常に好感が持てます。
是非とも他社にも見習っていただき、業界標準の考え方として定着していってほしいものですね。
楽天自社回線プラン(UN-LIMIT)のデメリット
楽天自社回線の通信エリアは一部地域限定
上の画像はRakuten UN-LIMITプランのサービスエリアマップです。
見てわかる通り、楽天自社回線が利用できるエリア(濃いピンクの部分)は、まだ大阪や神戸、京都、名古屋、東京、神奈川、千葉、埼玉の都心部に限定されています。※都市部でも繋がらないエリアが点在
今後、インフラ設備の増強に伴って利用可能エリアが広がっていく予定ですが、出張や外出で遠出する際には、まだまだ楽天自社回線だけでは不十分といえるでしょう。
⇒1年ちょっとでRakuten UN-LIMIT VIプランへと進化を遂げ、下の画像(2021年4月21日時点)のように、楽天回線エリアが都市部以外にも急増してきたことが見てとれます。
さらに下の画像のように、2021年秋以降にも大幅に楽天回線エリアが普及していく計画や、2023年以降にはスペースモバイル計画(エリアカバー率100%)もあるので、今後も高速なデータ通信エリアが拡大されていくことが期待できます。
楽天自社回線の通信エリア外の上限は2GB→5GB
Rakuten UN-LIMITプランは楽天自社回線が繋がらないエリアではパートナーエリアとして、au回線が利用できるようになっています。
ただしau回線を使ったデータ通信容量は月間2GBまでの上限が設けられています。
⇒当初2GBだった上限は5GBへ改善されました。
上限を超えてしまうと128Kbpsの速度制限を受けます。※データ容量の追加は1GBあたり500円で可能
⇒当初128Kbpsだった速度制限は1Mbpsへ改善されました。
楽天自社回線が使えるスマホを選ぶ必要性
楽天モバイルで現在セット販売しているAndroidスマホは楽天自社回線の電波が使えます。
ところが、楽天自社回線は対応機種が限定されているため、iPhoneシリーズのように楽天が取得した周波数帯域(1.7GHz帯/Band 3)に対応した機種でも、対応機種に含まれていないのでスマホ選びには注意が必要です。
楽天モバイルの正式プラン(UN-LIMIT)まとめ
シンプルでわかりやすい低価格な料金プランが大きな魅力である楽天自社回線を使ってUN-LIMITプラン。今後、5Gへ移行する際にも完全仮想化クラウドネイティブネットワークの恩恵が価格面で得られる可能性を秘めています。
一方で楽天自社回線がつながる通信エリアは、まだまだ限定的であるため、利用する上ではパートナーエリアで使うau回線の月間5GBというデータ容量を意識する必要があるでしょう。
また通信エリア以外にも対応機種が少ない問題点があります。
日本で根強い人気を誇るiPhoneシリーズすら対応機種のラインナップにないので、UN-LIMITプランへ乗り換えて楽天自社回線を利用したい場合には、楽天モバイルのセット販売端末を購入する必要があるので注意が必要です。
⇒2021年4月30日からは遂に待望のiPhoneシリーズ最新機種であるiPhone 12シリーズの発売を開始しました。
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楽天モバイル(Rakutenの格安SIM)の特徴
もともと楽天モバイルには、月間データ通信容量と通話オプションを好きな組み合わせで契約できる月額料金プランと、10分かけ放題と1Mbps使い放題がセットになったプラン『スーパーホーダイ』がありました。
データSIM | 通話SIM | |||
---|---|---|---|---|
SMS機能 | あり | なし | ||
ベーシックプラン | 710円 | 578円 | ベーシックプラン | 1,375円 |
3.1GBプラン | 1,122円 | 990円 | 3.1GBプラン | 1,760円 |
5GBプラン | 1,727円 | 1,595円 | 5GBプラン | 2,365円 |
10GBプラン | 2,618円 | 2,486円 | 10GBプラン | 3,256円 |
20GBプラン | 4,587円 | 4,455円 | 20GBプラン | 5,225円 |
30GBプラン | 6,072円 | 5,995円 | 30GBプラン | 6,765円 |
※税込み価格
MVNO時代から楽天モバイルはとても評判が高く、大手キャリアから乗り換える利用者が続々と増えており、後を絶ちません。
2017年3月格安SIMサービスの利用動向調査では『メインで利用している格安SIMサービス』でシェアNo.1を獲得しています。
この結果の大きな原動力となっているのが、楽天モバイルが音声通話を安くするオプションや直営ショップでの対面サービスといった、格安SIMの弱点を積極的になくしてきた立役者であることが挙げられます。
さらに2020年4月8日からは楽天自社回線(MNO)を用いた正式プラン(Rakuten UN-LIMITプラン)のサービス提供を開始!
Rakuten UN-LIMIT V(通話SIM) | |
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1GBまで | 0円 |
3GBまで | 980円(税込1,078円) |
20GBまで | 1,980円(税込2,178円) |
無制限 | 2,980円(税込3,278円) |
なんと楽天回線エリアなら大手キャリア同等の高速な通信速度でデータ使い放題+国内通話かけ放題がたったの2,980円(税込3,278円)という格安料金で使えちゃうのです。※さらに1GB未満なら驚異の0円!
今後の通信エリアの拡大次第では、固定回線やWiFiサービスの節約まで可能となる画期的な格安SIMといえるでしょう。
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