格安SIMでスマホを利用する場合、対象の機種がどの周波数帯の電波に対応しているか、事前に確認することはとても重要です。

 

なぜならセット販売端末ではないグローバル展開しているSIMフリーのスマホは、たくさん売らないと利益にならないため、世界中でよく利用されている周波数帯から優先的に対応していくからです。

 

中にはiPhoneのように、あらゆる周波数帯に対応している高級スマホもありますが、格安スマホと呼ばれている低価格な機種では、基本的に扱える周波数帯は限定的です。

 

さらに利用する格安SIMによって扱っている回線(ドコモやau)が異なるため、利用する格安SIMの回線ごとに格安スマホの対応バンド(周波数)との相性を見極めることが重要になってきます。

 

そこで日本の携帯電話会社である大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)の周波数帯に対して、最低でもこれだけは対応しておくべきスマホの対応バンド(周波数)について詳しく紹介していきます。

大手キャリアの通信方式(規格)

対応バンド(周波数帯)を確認するためには、まず大手キャリアが採用している通信方式(規格)についても、多少理解しておく必要があります。

 

たとえば高速な通信規格であるLTE(4G)には、主にFDD-LTEとTD-LTEがあります。

 

大手キャリア各社が独自の名称を付けていますが、

  • ドコモ:Xi, LTE-Advanced
  • au:au 4G LTE
  • ソフトバンク:4G LTE

基本的にどのサービスもデータ通信を同時に送受信するFDD方式を採用しています。

 

しかし3Gの場合はドコモとソフトバンクがW-CDMA方式を採用しており、auだけがCDMA2000という世界的にも珍しい通信規格を採用しています。

 

少し面倒ではありますが、スマホを選ぶ際には、ドコモとソフトバンク(ワイモバイル)回線の場合は

  • FDD-LTE
  • W-CDMA(拡張規格:HSPA)

au回線の格安SIMを利用する場合は

  • FDD-LTE
  • CDMA2000(拡張規格:EV-DO Rev.A)

の通信方式(規格)の対応バンド(周波数帯)をそれぞれ確認する必要があるんです。

参考au回線(スマホ)が利用できる格安SIM

 

なお各携帯電話事業者の通信方式と周波数帯は総務省のホームページから確認することができます。

※参考URL:総務省HP

大手キャリアの周波数帯域

LTE(FDD)で使用している周波数帯
バンド 周波数帯 D社 A社 S社
Band 1 2.0GHz
Band 3 1.7GHz
Band 8 900MHz
Band 11 1.5GHz
Band 18 800MHz
Band 19 800MHz
Band 21 1.5GHz
Band 26 800MHz
Band 28 700MHz

※D:ドコモ、A:au、S:ソフトバンク(ワイモバイル)

3G(W-CDMA)で使用している周波数帯
バンド 周波数帯 D社 S社
Band 1 2.0GHz
Band 6 800MHz
Band 8 900MHz
Band 9 1.7GHz
Band 11 1.5GHz
Band 19 800MHz

※D:ドコモ、S:ソフトバンク(ワイモバイル)

3G(CDMA2000)で使用している周波数帯
バンド 周波数帯 A社
Band Class 0 800MHz
Band Class 6 2.0GHz

※A:au

 

FDD-LTEの対応バンドは

  • ドコモ:バンド1、3、19、21、28
  • au:バンド1、11、18、26、28
  • ソフトバンク:バンド1、3、8

となっています。

 

3Gの対応バンドは

  • ドコモ:バンド1、6、19
  • au:800MHz、2,000MHz(2,100MHz)
  • ソフトバンク:バンド1、8、9、11

となっています。

 

あくまで周波数帯なので、たとえばauの周波数帯2.0GHzは2,000MHzや2,100MHzに対応と書かれていても、基本的に同じとみて問題ないでしょう。

2GHz帯とは、1920~2200MHzの電波周波数帯のことで、主に携帯電話で用いられている。3.9Gに位置づけられるLTE(Long Term Evolution)でも、メインバンドの1つとして使用されている。2010年からNTTドコモ、2012年秋のiPhone 5発売にあわせて、KDDI、ソフトバンクが、同周波数帯を使用したLTEサービスを開始している。

引用元:公式サイト(au)

 

言葉で説明するだけだと難しいので、実際のスマホの機種を例に確認してみましょう。

iPhone 7(Apple)の仕様例

AppleのホームページからiPhone 7の『携帯電話/ワイヤレス通信方式』の項目をみてみると、

FDD-LTE(バンド1、2、3、4、5、7、8、11、12、13、17、18、19、20、21、25、26、27、28、29、30)
TD-LTE(バンド38、39、40、41)
TD-SCDMA 1,900(F)、2,000(A)
CDMA EV-DO Rev. A(800、1,900、2,100MHz)
UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1,700/2,100、1,900、2,100MHz)
GSM/EDGE(850、900、1,800、1,900MHz)

引用元:公式サイト(Apple)

 

FDD-LTEのバンドとCDMA2000の拡張規格であるEV-DO Rev.Aの周波数帯、W-CDMAの拡張規格であるHSPAをさらに高速化したHSPA+の周波数帯がそれぞれ記載されています。

 

iPhone 7は非常に対応バンドが多いことで有名です。

 

実際、ソフトバンクだと3Gのバンド11(1.5GHz)以外すべて網羅しており、ドコモとauに至っては全周波数帯を網羅していることが確認できます。

 

また1.5GHz帯(ドコモのバンド21やauのバンド11)は世界的にあまり利用されていない周波数帯なので、Appleの日本市場に対する熱い思い(または大手キャリアの積極的なアプローチ?)も対応バンドから伺うことができますね。

各キャリアの抑えておきたい対応バンド(周波数帯)

ちなみにプラチナバンドとは、主に700〜900MHzの周波数帯のことを指します。

 

2.0GHz(2.1GHz)帯や1.5GHz帯と比べて、周波数が低い900MHz帯の方が電波が遠くまで届き、障害物にも強いとされ、繋がりやすいといわれています。

  • ドコモ・・・バンド19
  • au・・・バンド18/28
  • ソフトバンク・・・バンド8

こういった理由からプラチナバンドに対応しているスマホを選ぶと繋がりやすさという観点でとても安心できます。

 

一方で周波数が高い2.0GHz(2.1GHz)帯の方が電波の直進性が高く、高速で大容量のデータ転送に有利といわれています。

 

これら通信エリアと速度を考慮したキャリアごとの抑えておきたいバンドは

  • ドコモ:バンド1、3、19(プラチナバンド)
  • au:バンド1、18/28(プラチナバンド)
  • ワイモバイル:バンド1、3、8(プラチナバンド)

といったところでしょう。

 

今のところソフトバンク回線はないですが、ワイモバイルは一部ソフトバンク回線も利用しているようなので、バンド3、8に加えて、ソフトバンク回線の主力でもあるバンド1を抑えておけば、格安スマホがエリアと速度面で足を引っ張ることはないでしょう。

⇒最近ではLINEモバイルなどソフトバンク回線を利用した格安SIM(プラン)も登場してきています。

参考ソフトバンク版iPhone(回線)が利用できる格安SIM